アバドが児童向けに書いた絵本、「アバドのたのしい音楽会」があります。アバドがいかに音楽の世界に魅せられていったかが、子供向けに平易な文で綴られていて、おすすめです。(図書館に行けば見つかると思います)。
(以下引用)
7歳の時、ミラノのスカラ座に初めて行き、劇場の一番上から見下ろすと、たくさんの音楽家がずっと小さく見えた。そのうちの一人が、腕を動かしながら、素晴らしい音を自由自在に作り出していた。曲目は、ドビュッシーの「ノクターン」。まるで光と色が絵のように見えてくる感じがした。その日、指揮台の上に立っていた全能の神こそ、アントニオ・グワルニエリという大指揮者で、その日の日記帳に「いつの日か、きっと自分もあの曲を指揮して見せる」と書いた。
あのスカラ座の晩のことは、絶対に忘れない。ぼくはあのとき魔法にかけられた。あんなに大勢のひとが同時に音を出したり、そのひとたち全員を思うがままに指揮するひとがいたりすることに、すっかり心を奪われてしまったのだ。その翌日から僕はピアノを習い始めた。
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